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髪の色だけではなく髪質で悩んでる人もいるんだよ

by azumaru

先天的な茶髪が受け入れられず悩んでいる女子高生の記事にすごく共感しました。同時に、卒業して10年近くたった今でも何一つ変わってない教育現場に腹が立ちました。自分も同じような体験をしたからこそ、過去を思い出して書き記します。

ちなみに僕の場合は個性を認めてほしいのはもちろん、没個性になることも認めてほしいという立場です。
そして最終的には周囲の理解に恵まれて認めてもらえたという内容です。

タイトルにもある通り、僕が悩んでいたのは髪質でした。少し長めですが、教育現場にお願いしたいことも書いたので最後まで読んでくださると嬉しいです。

普通ってなんだろう

僕は生まれつきひどい「縮毛」の髪質。
さらに色素が少し薄くて髪の色は焦げ茶色。

小中のときは見た目に無頓着でほとんど丸坊主にしていたから、自分も周囲も特に気にしてはいなかった。

けど高校に上がるとやっぱり見た目を気にするお年頃。例えそれが男子ばっかの高校だとしても。

今でもはっきり覚えているクラスメートからの一言は


「上の毛と下の毛間違えて生まれてきたの?笑」


それ以来、自分の髪を常に気にするようになり鏡に映る自分に嫌気が差した。
入学時の願書の注意事項に「髪質が強い縮毛です」と書いたのにも関わらず、初めての生活指導チェックで担当の教師からは


「お前こんな髪の毛は普通生えてこんだろう」
「毛染めとパーマでデビューした気になるなよ」


ショックだった。願書の注意事項など共有されていなかったんだとその時知った。

それからはチリチリとアダ名がつき、時には陰毛頭とか歩く生殖器とか言われたこともあった。

イジメではないかと心配してくれる人もいた。けどそれを認めるのが悔しくて、辛くて「イジられてるだけだよ」と強がってみせた。
よく考えたら、アレはイジメだったのかもしれない。まだ色恋沙汰すらない自分に経験豊富のような通り名で呼ばれても、何も言い返せない。悔しい。


「え、ふざけてるの?」と思われるかもしれない。
だけど思春期を男子だらけで過ごす学生にとって彼女持ち・経験有りは在学中になんとしても得たい輝かしいステータス。モテたい一心で男子校生は青春を謳歌するのである。

そんな僕もモテたくてヘアカタログを読み漁り、理想の写真を切り抜いて人生初の美容院へ足を運んだ。それまで床屋で済ませてた僕には美容院の入り口とそこから見えるスタッフがとてもキラキラして見えた。


「今日はどのようになさいますか?」

さすが美容院、僕の髪を見ても驚かない。そこで写真を見せて、自分の仕上がりイメージを伝えた。


「だいぶイメチェンしますね!」
「ストレートパーマが必要ですが、校則的には大丈夫ですよね?既にツイストパーマしてらっしゃいますし!」


その瞬間、やはり自分の髪は普通ではないのだと悟った。そしてこれが地毛だということと校則でパーマや毛染めが禁止されていることを伝えた。


「となると…普通の髪型はできないので……思いきり短くするしかないですね」

スタッフさんはかなり苦々しい顔をしながらも、傷つけないよう必死に言葉を選んだのだろう。選択肢がないのでその時は短くカットしてもらった。

その日分かったことは「自分が普通の髪型ではないこと」と「ストレートパーマをかければ普通になれる」ということだった。


そして2年生になる直前の春休み、僕は美容院でようやく普通の髪型になれた。

普通を手に入れた嬉しさ

風に揺れ、ワックスで思い通りに動かせる髪。朝起きても爆発してない髪型を見て、毎朝鏡に向かうのが楽しくなった。服を買いに外へ出かけるようにもなった。

けどそんな幸せは長く続かない。生えてくる髪はあの縮れた毛なのだから。

悩んでるうちに新学期が始まりそうだったので、ひとまずもう一度ストレートパーマをかけてサラッサラの状態で2年生になった。

去年と同じクラスメートもいるけど、イジるヤツはいなくて安心した。そして担任も去年と変わらなかった。そこで僕は先生に相談した。


「先生、僕はようやく普通の髪型になれました。あの髪をどうしても個性として受け入れたくなくて、こうしてみんなと同じように過ごせるのがすごく嬉しいんです」

「校則を破っているのは分かっていますが、お願いです。没個性になるための、普通になるための手段として受け入れてくれませんか?」


先生は後日、生活指導の担当教師に事情を話してくれた。そして茶髪と縮毛が地毛であることを証明する地毛証明書の取得を認めてくれた。

けど1〜2週間もすれば学生同士のネットワークで僕が縮毛だったことはすぐにクラスに知れ渡る。

「なんでアイツだけパーマ許されんスか!」
「えこひいきだー!」

そんな声が教室から上がり、僕がたじろぐ姿を察してくれたのか先生はこう応えてくれた。


「じゃあクラスの全員が丸刈りにしてきたら、コイツのパーマも禁止にするよ」


教室が静まり返り、誰も反論できなかった。先生の言葉は嬉しかったけど、自分の言葉で何か伝えるべきだと思い席を立った。


「俺は今年からこの髪型でモテたいんだ!青春したいんだ!」


失笑が多かったけれど、みんなは受け入れてくれた。
夏休み明けにもなれば毛染めやパーマをかかてくるヤツもいて、先生はその度に指導していた。だけど引き合いに僕を出すこともなく数日後にはちゃんと黒色でまっすぐな「普通の髪型」になっていた。

周りに馴染みたい
ただそれだけ

結局、普通の髪型は卒業まで続けましたがこれといった色恋沙汰は特にありませんでした。男子で仲良く楽しんで、バカみたいに騒いでただけです。

僕の場合は本当に先生やクラスメートに恵まれてたので、そうでなければ先の記事にあった女子高生のように精神的に追い詰められてたかもしれません。

僕が思う普通とは
「可もなく不可もない、周囲に影響を与えない範囲で収まる定量化できること」
だと思っています。

テストの点数や体力測定など、定量化できるものであれば普通の範囲はあるでしょう。
それを上回れば勉強できる、運動神経がいい。下回るようなら勉学に励む、カラダを鍛えるなどの教育も必要だと思います。

しかし身体的な特徴は持って生まれてきた個性なので定量化できません。だから本当は普通も特別もないはず。

茶髪の彼女の件はどうでしょう。周囲の理解があれば、それは身体的な特徴であっても「普通」と呼べるはず。
影響を及ぼすと考えていた教師たちは彼女以外の生徒にもちゃんと向き合ったのでしょうか。大多数の生徒を納得させるより、少数の生徒をルールに従わせる方が楽だと考えたように思えます。


僕が教育現場にお願いしたいのは3つ。

  1. 身体的な特徴に理解を持ってほしい
  2. (1)に対して本人がコンプレックスを抱えている場合は聞いてほしい
  3. 特別措置を考えた場合、周囲に理解してもらうよう掛け合ってほしい


大人が思っている以上に子どもたちは外見の違いに敏感です。身体的な特徴が仲間はずれやイジメの標的にもなりコンプレックスを抱えることもあります。そんな針のむしろの上に立つような集団生活の中で真っ先に寄り添ってあげるのが教師の務めではないでしょうか。




あなたにとっての普通とは、なんですか?




azumaru
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